Panasonic vs SONY
業務用ビデオ分野においてはいいライバルではあるが放送現場のシェアはMac vs Windowsくらい引き離されているのではないだろうか。近年めきめき存在感が出てきたパナソニックだがどうしても放送局に攻めきれない。これはあまりに普及してしまったベータカムの影響で、撮り貯めたアーカイブのほとんどがベーカム、報道用のカメラがほとんどベーカムといった状況で異なるフォーマットに切り替えるタイミングが見えないのだ。かなり先進的なパナソニックのP2システムだがCATVやパッケージビデオ、映画製作などの導入にとどまっている。オリンピックではかなり強力な営業攻勢で導入されているようだが次に続かない。
そんな寡占状態の放送局のSONYなら互換性を持たせた機材を作ればいいのにと思うのだが一向にそのような動きもない。そう考えると放送関係に携わるプロダクションはどうしてもSONY系の機材でそろえざるを得ないわけで選択肢は狭い。地デジハイビジョンに関してSONYで選べるフォーマットはHDV、AVCHD、XDCAM、HDCAM、HDCAM-SRがある。
他社と互換性があるのは民生フォーマットのHDVとAVCHDだけだが放送局ではサブシステム程度と捉えてているようだ。
地デジが導入される当時はHDCAMしかなかったというのもありほとんどがHDCAMベースのシステムになってしまっている。ところが一般のテレビが地デジに変わると共にフルHDという言葉が一気に普及してきた。液晶テレビ、プラズマテレビともに半分くらいはフルHD対応になってきた。最近ではハンディカメラでさえフルHD記録を売りにしてきた。
そうなると放送システムがフルHDでないことが一般に知られる前に切り替えたいという要求が出てくる。SONYにしてもPanasonicにしても放送機器も民生テレビも売っているので販売に影響が出てくる。
放送しているコンテンツがフルHDでもないのにフルHDのテレビは綺麗だと売っているのはちょっと問題である。放送機器でフルHDになっている機材は意外に少ない。なによりも放送しているmpeg2TS自体がフルHDでない。要するに収録、モニター、送出などほとんどが1440クラスで作られているということなのだ。
今年に入ってからフルHD対応の業務用機器が発表されてきたが光ディスクだったり半導体メモリーだったりする。これらが放送局で採用される可能性は低い。
現状でも混乱するほどのフォーマットが存在するがまだこれからも新しく登場する可能性は大いにある。