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2007年09月 アーカイブ

2007年09月02日

民生機恐るべし

カシオのデジタルカメラ試作機である。
かなり業界的にも話題になっているようだ。
まずは単板600万画素の60fs撮影だ。このクラスの静止画だとHVX200の1080/30Pより解像度は高い可能性がある。となれば1080/60Pのカメラとして使えるのか?
12倍ズーム、1/1.8インチのCMOSということで光学性能に若干の不安があるもののスタイルとしては20万円以下のカメラと思われるため驚異的な性能といえる。
そして目玉は300fsのハイスピード撮影だ。画像はVGAサイズとなるがこのスピードはあまりにもインパクトが強い。

CMに使う場合再生は30fsだから10倍のスローということになる。カシオのサイトにサンプルムービーが出ているがこの手の映像はnacなどの特殊カメラをレンタルするしかなかった。業務用だと10000fsなどというとんでもない高速撮影モデルもあるが高速になるとフレームあたりのシャッタースピードがどんどん早くなり露光不足になる。つまり素人でそれだけの照明をするのが難しくなってくるわけだ。それを考えると300fsは絶妙な選択だ。単純に考えればシャッタースピードは1/300sだから屋外の明るい状況であれば普通に撮影できる。曇りだとちょっと光量が足らない。
室内だと500Wクラスの撮影用電球を1mくらいから当てれば大丈夫か?

ハイスピードの場合、蛍光灯や水銀灯はフリッカーが出てしまい使えない。
このハイスピードカメラ、一般ユーザー向けに作られたようだが一般のデジカメユーザーは何回か使えば飽きてしまう機能だ。むしろ話題性である程度売っておいて開発費を償却し、次に業務用モデルを低価格で出そうという魂胆があるかもしれない。
業務用の場合何百台も売れるようなものではない。かといって一千万も出して所有する余裕のあるプロダクションも少ない。
もしこれだけの機能でレンズ交換が出来たら50万でもかなり売れるだろう。
はたして今後、どんな展開になるのか楽しみだ。

2007年09月05日

ローバジェット制作

汎用的なワークフローということではないがローカルCMに於いてのローバジェット制作ができる環境を考えていく必要がある。CM制作というと時間単価にすると映画よりも高価であると言われる。2時間の映画と15秒のCMを比べること自体に無理があるがわずか15秒に数千万円もかけたCMも存在するわけだ。
ローカルCMの場合は同じCMという名称を使うのが不思議なくらい放送エリアの違い、放送料金の違い、スポンサー規模の違いといった理由で全てが2桁以上スケールダウンしてくる。2桁というと1000万が10万ということだ。そんなこともありローカルCMは静止画と局アナという構成が長く続いていたのだが近年、映像制作機材が低価格化してきてローバジェットでもある程度の映像を作ることが出来るようになったわけである。
最も早かったのが編集機である。パソコンの高機能化で映像をデジタルで取り込んでノンリニア編集という形で爆発的に普及した。
これはテープ編集より機材も安くつくし編集効率は何倍も違ってきた。今、テープ編集をしているところを探す方が難しいくらいである。
こちらの機材もテープ編集時代にABロールでちょっとした特殊効果を付加するシステムで5000万はしていた。同等以上のことが出来てパソコンノンリニアなら50万くらいで組めてしまう。ここでも2桁ダウンである。

撮影はどうかというとあまりコストダウンには走っていない。ただ民生用カメラはかなり高画質になってきておりハイエンドなCMで使っているようなカメラでの画質は到底無理だが一昔前のENGカメラで撮影していたCM程度なら数十万円の業務用カメラでも充分太刀打ちできるようになって来た。放送用ENGカメラがレンズ込みで600万、業務用HDハンディカメラが60万くらいだからここでは1/10くらいのダウン。画質、機能もそれなりに落ちる。
さらに撮影はスタジオ、照明、、音声、美術など様々な要素があり何十年もほとんどコストダウンは出来ていない。この分野でコストダウンするにはスケールダウンするしかない。撮影クルーの人数を最低限にし基本、自然光+簡易人工照明、ワイヤレスマイク、撮影のワンマンオペレーション…2名で行って半日で撮影を済ます。といった構成だ。これで数百万の撮影が数万になる。内容は全く違うものになるが…

こうした努力により一本あたりの製作費は10万前後でも撮影動画のCMを作ることが出来るようになる。既にある写真やタイトル、イラスト、フリー動画素材などを組み合わせて動画作品を作ると撮影分は浮くことになりさらに低価格になる。こうして出来上がった完パケ映像はTV局に搬入されることになるのだがローカルの場合、山陰では3局になる。全てに流す必要はないので予算の低いものは一局だけの放送ということもある。
ローカルCMで山陰以外のエリアに出稿することは稀である。観光目的などでたまにあるくらいだ。そこで問題になるのが搬入メディアである。
全国的にはD-2が標準である。しかしローカルではテレビ局の番組制作会社がCMを作ることが多くD-2を所有していないプロダクションがおおいためかベーカムでの搬入ができるローカル局が多く存在する。D-2のVTRは当初800万くらいはしただろうか。ベーカムでも放送モデルは500万はする。しかし僅かに耐久性と機能を落とした業務用ベーカムVTRが10年ほど前に登場し220万で売り出された。これによりCM搬入が一気にやりやすくなった。
とはいえ50万ほどでノンリニアが組めるのに対して納品テープを仕上げるためだけに200万のVTRはバランスが悪すぎるる現在ではこのVTRも中古市場に多く出回るようになり20〜40万くらいで入手できるようになった。

ここでも何度も出てきているがハイビジョンに変ることによってまた機材の構成が大きく変わってきた。BSデジタルが始った頃からポストプロダクションのHD化は進んできたのだが当初は億単位の機材だった。そのうちSDに対して2〜3割アップ、そして現在ではSD機器は姿を消しつつありHDを選択するしかなくなってきている。
SD用のVTRが220万で出てきたようにHDCAMも最近330万の物が出てきた。これは業務用ではなく放送機材仕様である。しかしまだ出たばかりで中古市場に出回っては来ていない。
全国的にはハイビジョンCM搬入はHDCAMになっているのでこれは避けられないのか。あるいはベーカムのようにローカル特有のメディアが設定されるのか。
まだハイビジョンCMは普及しておらずナショナルスポンサーでも一割にとどいていない。ここだけはまだ静観である

2007年09月06日

続 ローバジェット制作

さらなる低価格戦略として「ほとんど自分でやる」というのがある。
VPなどのビデオプロダクションでは営業、企画、台本、監督、撮影、編集、MA、CGなど全てを一人でやっておられる方を見かける。もちろん機材も全て自前だ。
ナレーションだけは誰かに頼むことになるのだろうがここまで外注がないと本人の経費だけで済むことになる。この本人の経費だが給料相当というわけにはいかない。機材の償却、事務所経費などがかかってくる。私の場合自宅を使っているので賃貸料はかからない。機材も私物のAV機器が流用できたりしているので少ない方だ。
しかし得意分野以外の仕事は効率が悪いので全てをやるわけではない。営業と企画は広告代理店、スタジオ撮影以外のロケ撮影は外注にしている。

こうすることによって全てをやることによる非効率部分を排除し効率的な作業を可能としている。打合せ、チェックなどのほとんどはインターネットで行い、スタジオから外に出ることは非常に少ない。電話は作業を中断させるのでなるべくメールでのやり取りにしている。昼間でも電話のベルはほとんどならないし窓から日光も入らないので深夜作業と同様の集中作業が可能というわけである。そのため業務時間はam8:00からpm6:00が中心になる。年を取ると午前中の方がはかどる(笑)
かといって引きこもりというわけではない。作業の合間に外に出かける。
こうしたエコな仕事環境を作ることで制作費を落としてもある程度の利益が残るようになった。仕事が極端に減っても大丈夫なように機材購入も借り入れではなく現金購入を基本にしている。典型的な石橋叩きの商売である(笑) 基本的に小心者なので…。

2007年09月07日

今後の課題

ローカルCM制作をやり始めてからほぼ丸3年になろうとしている。
なんとか生き残っているのでまだしばらくは続けていけるものと思えるようになって来た。
企業と違って右肩上がりの成長などは考えていない。テーマははどこまで継続できるかだ。世の中の変化に対応しながらこちらも変わっていくわけだが地方というのは変化が少ないためこちらが思うほど周りは変わっていない。ハイビジョンへの対応はすでにカウントダウンが始っているのでいつやっても遅くはない。
とはいうものの導入時期が遅いほど新機能、低価格の機材を選べる可能性はある。
先にも書いたが不得意分野、効率の悪い分野は自分でやらないと宣言した。
しかし待っているだけでは周りが変わってくれない。これをどうして行くのかがこれからの課題だ。
現在課題と考えているのは「企画」と「撮影」である。
企画に関してはどこかの大手代理店がやっていたようなパッケージ企画でも考えてみるか。スポンサー名と少しのコメントを変えるとその企業のCMになる。みたいな。
というのも、スポンサー毎に企画提案していると企画費用が捻出できない。全体予算が少ないため絵コンテを描く費用さえ微妙なのだ。
世の中に埋もれている没企画でも集めてくるか(笑)

2007年09月08日

続 今後の課題

それなりに現状にも満足しているわけだが夢がないわけでもない。
やはり自分はクリエイターというよりエンジニアであり職人であったりするほうがしっくりくる。
つまり道具にこだわるという部分では夢は多い。かといって金に糸目を付けずに設備を考えろと言われても楽しいわけでもない。あくまでも商売人、採算の取れる最大限の設備を考えるというのが楽しいのだ。そういう意味では仕事単価が高く仕事量の多かったバブル時代などは好きなものが買えた。しかし若くない今では仕事量を増やしてまで売り上げを伸ばし、設備投資と税金につぎ込むというのはやりたくない。そこそこまったり仕事をしながら適当に新しい道具を手にして効率のいい仕事が出来るのが幸せである。

都会で先端の仕事をしていると常に追われる立場にあり新しいテクニックを貪欲に探しまくっていたわけだが、田舎ではほぼ追われることはなく競争もほとんどない。このあたりも心地いい理由になっている。進化しなくていいのではなく、ゆっくりでいいのだ。
というわけで暫定的中期計画、長期予想。
2008年 HDCAM納品対応。
2009年 ロケ用撮影システム拡充、HDカメラ、音声、照明、移動車など。
2010年 市街地中心部にサテライトオフィス設置 編集とミーティング、試写室
2011年 スタジオを改装、天井を延長し照明を充実、アルチマットブルーを常設、防音を強化
2012年 モーションコントロール熱再発症(90年代、00年代と10年おきに発症するようだ笑) ロケ用モーションコントロールシステム開発

2025年 やっと年金を貰えるようになるがまだまだ仕事は続く。
2040年 ボケ始め画面もよく見えなくなり、やっとコンピューターから遠ざかる…

2007年09月10日

モーションコントロール

中長期計画にモーションコントロールシステムとあるが解説しておこう。
1990年代に初めてモーションコントロールカメラをやってみようとロボットを購入した。スターウォーズのメイキング本に書いてあったクレーン型のモーションコントロールカメラがやってみたかったのだ。
このときのシステムは6軸の三菱小型アームロボットに1.2mのレールを付けたものだ。自由度は多いものの工業用ロボットのため複合軸の同時作動では動きがかくかくし、カメラの動きのパン、チルト、ロールといった軸のプライオリティを設定できずかなり不自由なものだった。
2000年代になり再び挑戦。このときは動きを優先したため駒撮り撮影専用となった。3DCGで動きを完全にシミュレーションし、そのデータをロボットに 1フレームずつ送り込んでディスクレコーダーに駒撮りしていた。制御できる軸はパン、チルト、リフト、トラック、ズーム、フォーカス、アイリス、REC、被写体のコントロール用に2軸回転と1.5mのレールという12軸構成だった。モーターとコントローラーをネットで購入し機構部分とプログラム(一部外注)は自作だった。

最大でノートパソコン程度の被写体しか撮影できなかったが完全なオスメスマスクの撮影も出来たためCGのような動きと完全な合成が出来た。
で、現在構想しているのがロケ用モーションコントロールシステムである。
ロケ現場では従来の大掛かりなモーションコントロールシステムを持ち込んでも人件費と調整時間がかかってコスト的に合わない。そこで三脚のオイルヘッドをちょっと大型化したような可搬型のリアルタイムシステムを考えている。動作はパン、チルト、ズーム、フォーカスでレールを持ち込んでトラックまたはリフトが出来れば面白い。
ポジション、フレーミングをリモコンでティーチングし、動作時間を決める。
補完動作はパソコンでカーブ編集が出来、パソコンのモニターでカメラの画像を確認しながら微調整が出来るというものだ。

基本的にワンマンオペレーションが出来るというのが大きなテーマである。
このシステムで難しいのが補完カーブの編集だ。CGでも2ポイントのキーフレームをイージーイーズで補完しても複合軸の場合は思った通りの動きは得られない。
パンニングしながらのズームなどがそうである。加減速を付けると更に気持ちの悪い動きになってしまうのだ。もちろん人間がパン棒を持って同時にズームレバーを操作しても滑らかな動きになるはずはない。
ハイビジョンにになっても相変わらずSD時代のカメラワークが多く、大画面で鑑賞すると辛いものがあるが、安定した滑らかなカメラワークが簡単に出来ないものかと考えているところである。

中古品

業務用機器は趣味の道具とは違い中古品を選ぶことに何の躊躇もない。誰が使っていようと。使用環境によってはかなり寿命の短いものもあるが業務用の場合民生機よりはるかに耐久性がある。
しかし近年のデジタル開発競争によって機能的な陳腐化が問題になる。ある意味新品で買うことのほうがリスクがあったりするからますます難しい。
現在ベーカムSPのデッキを使っているのだがこれも中古である。定価220万のものが10年くらい経過したもので40万程度で購入した。外観は非常に綺麗で新品に近いものだ。ウチではテープ走行の使用頻度が極端に少ない。15秒のCMをテープに落とすだけだから報道関係や長編モノのテープ編集をしているプロダクションに比べれば1/100以下ではないだろうか。というわけで未だに問題なく作動している。
ただ、アナログベーカムということでドロップアウトなどに悩まされることもある。
音質もトラック幅が狭いため最近のデジタル音声に比べるとちょっと物足らない。

デジタルベーカムという選択肢もあるがその当時、中古が出てもすぐ売約済みといった具合で出回ることもなかったし価格も300万以上した。
ところがここにきてHDCAMも価格低下版が出てきたためSDの中古VTRニーズが減少してきたようだ。かなり上物で定価730万のデジタルベーカムデッキが260万で売られていた。
D-2ともなると1000万もするVTRが40万で売られている。CM納品用ならこちらの方がいいがD-2テープがベーカムの2倍以上するのでちょっと考え物だ。
HDCAMもそろそろ初期モデルは中古市場に出てくる頃だろうが初期モデルは定価が高い。HDCAMの場合、最高機種も最安値機種も画質や耐久性にほとんど違いはないらしい。そうなると定価600万の機種が300万で売られても新品で340万の機種を選んでしまうだろう。
カメラは中古で買った事はないが本体は機能的にどんどん進化しているので2〜3年モノでもかなり安く出回っているようだ。反面、レンズは完成された部分でもあるし性能劣化が少ないので意外と高値で売られている。いいレンズを持っていればカメラを換えても使い続けられるというメリットもある。
ところが数百万もするレンズでもさすがにHDのカメラに使えるかというとそうでもないらしい。地デジのバラエティ番組などを見ているとスタジオのメインカメラなのに周辺のフォーカスが甘く色収差の出ている映像を見ることがある。これはひょっとするとSDレンズを流用しているのかもしれない。

2007年09月11日

タイミングが悪すぎる!

「Adobe Premiere Pro CS3 がPanasonic P2をサポート」ですよ。
いつか対応するとは思ってたけどこのタイミングは悪すぎる!先月カノープスのシステムを入れたばかりじゃないですか。
P2を読み込むため1年前AVID XPRESSを導入して、あまりの操作性の悪さに今回REXCEED M5000にP2Optionを付けて約200万…
P2Optionだけで15万もするというのにプレミアは\98,000ですよ。ああ、もったいない。
まぁ、200万が98000円で済むということではないのだが。
プレミアを導入したとしてもベーカムへのコンポーネント収録をやろうと思うとカノープスのビデオカードを導入しないといけない。
ばらばらで購入すると百数十万くらいになるだろうか。
ターンキーシステムの方がサポート安心だし、しょうがないか。と諦めるしかない。
こんなこともあるのでHDCAMの導入は慎重にならざるを得ない。
HDCAMシステムを400万も出して導入した途端、「CM搬入はデータでもよくなりました」なんてことになったら目も当たられませんからね。

2007年09月13日

レコーダーフォーマット

そもそもこんなに悩まされているのはP2のMXFフォーマットが原因だ。
汎用フォーマットだと言いながら直接読み込めるアプリケーションが少ないまま展開していったパナソニックに問題が多い。
どうせならaviやQTに記録できるモードも作っておけばもっと普及したのではないか。
あくまでもP2は放送フォーマットだという考えから大規模システムでの展開しか考えていなかったようだ。
しかしプレミアのような最も普及しているソフトでP2が扱えるようになったとはいえMXFフォーマットが一般でも使われるかというと疑問もある。要するに一般ユーザーには不要な機能が多いのだ。P2カードからの取り込みにしてもPCにドライバーをインストール必要がある。MXFファイルは専用のビューアーがないと内容を見ることも出来ないし音声と映像は別々のホルダーに収容される。しかもファイル名は理解不能なランダムなアルファベットが付き、勝手に書き換えると映像と音声ファイルが連結しなくなる。つまりMXF管理ソフトを使って絵を見ながら操作するしか個別のファイルのコントロールが出来ないという不便な代物なのだ。結局プレミアやEDIUSがP2を直接読み込めるといってもアフターイフェクトで素材として扱う場合にはaviやQTなどに変換した上で扱うしか方法がない。
しかし今後アフターイフェクトがP2に対応するとは考えにくい。それほどMXFフォーマットというのは厄介なのだ。
SONYのXDCAMも同じような形式を取っているがもちろん互換性などない。

2007年09月17日

音声収録と生録マニア

CM撮影において同録をすることがちょくちょくあるのだがナレーション録音と違い、マイクのセッティングの難しさに苦労している。
ガンマイクを使ったりワイヤレスマイクを使ったりするのだが、カメラに映りこまないようにする為どうしても収録条件が悪かったりするのだ。
スタジオ収録ならある程度防音仕様になっているのでガンマイクでほぼ網羅できる。とはいってもあまりオフにし過ぎると残響音が混入してしまう。
ロケの場合雑音が避けられない場合が多くガンマイクでは厳しい場面も多い。そんな時はピンマイクを仕込むのだがこれも難しい。アナウンサー的なものであればピンマイクが映りこんでも違和感がないが演技物だとなるべくマイクが見えないようにと隠すのだがどうしても音質的に悪影響が出てくる。そんなこんなで専門分野でなかった音声収録もある程度自前でやらないといけないようになってしまった。とはいえ、全く知らない分野でもないのだ。実は高校生の頃「生録」が流行り、パラボラ集音器やステレオマイクを持ってカセットレコーダーでいろんな音を録音していたことがる。その当時、SONYでいう「デンスケ」である。3kgくらいのカセットレコーダーを担いで運動会や山や海に行っていろんなものを録音していた。今で言えばハンディカムのようなものだ。

映像や写真がまだ高価な時代なだけに比較的お金のかからない「生録」は意外に人気があった。今となれば特に録音機を持ち出すこともなくカメラに音声を入れ込めばデジタル録音は簡単にできる。しかしその当時はカセットテープが標準で、オープンリールなどは憧れだったりした。その後DATが出現し録音もデジタルに変わっていった。
映像制作で本格的にやろうと思うとワイヤレスマイク数セット、ガンマイク、ポータブルミキサー、ブームアームにウィンドジャマー、ヘッドホン…本格仕様になると一揃えで軽く100万は超えてしまう。
定番ではガンマイク、ゼンハイザー製で20万〜、ワイヤレスシステムはRAMSAやSONYで50万以上、ポータブルミキサーなども20〜30万はあたりまえといったところだ。
それほど音声収録は映像と同様に重要なのだがこれらはどちらかというと報道系を意識して構成されている。要するに信頼性と耐久性が最も重要なのだ。
しかし制作系であればある程度、収録後のモニター次第で撮り直しという事はありうることである。ということはコスト削減のためある程度クォリティが確保できれば低価格のものでも問題ないとも言える。
そこで録音マニア当時の血が騒ぐわけである(笑)ロケの同録にも使えてSEの素材収録にも使えるようデジタルレコーダーをベースに考える。ミキサーベースだと録音機が別筺体になりワンマンオペレーションが出来ないためである。

マイクはパラボラ集音器はありえない。というのもかさばるし、音質的に低音域の収録が不得意なのだ。割高ではあるが性能のいいガンマイクがいい。スタジオ用にはオーディオテクニカをキャスタースタンドとプームアームに取り付け常設している。生録専用に一つ欲しい。ミキサーはレコーダー内臓のものを使用。というか、できればマルチチャンネルがいい。これならミキシングも不要でレベル調整だけで済むからだ。
HDDレコーダーは安価で大容量だが動作音、立ち上がり、衝撃に弱いなどの弱点もあるため半導体記録がいい。
ヘッドホンは業界スタンダードのSONY製があるのでそれを使えばいい。
後はブームアームとウィンドジャマー。ワイヤレスシステムは今回の趣旨ではないので外す。となればマルチレコーダーもステレオであれば問題ないということだ。
レコーダーも数万から100万以上といろいろなのだが…
と、まぁいろいろ機材カタログを眺めているのも趣味のうちということで(笑) しばらくはネットで調査。

2007年09月19日

ブームアーム

いろいろと模索中。
少し現実的なセレクションをしてみる。
ガンマイクはaudio-technica AT815b ¥30,450、ファントム電源の超指向性マイクである。これにサスペンション+付属のウィンドスクリーン。
軽量3段マイクブームポール。DAIWA MB263B 最大伸張2600mm、最小縮長940mm、590g ¥11,200と軽量低価格。
レコーダーFR-2LEは迷ったがミキサーとしての機能が業務用としてちょっと物足らないのでPROTECHのハイパーリミッターをチョイスしてみた。ミキサーだとなぜか数十万もしてしまう。しかし収録は多くて2ch。基本は1chが多いのだ。
ファントム電源、1k基準信号、バランス出力、ヘッドホンモニター、ピークメーター、リミッター、バッテリ駆動。などが条件になる。このハイパーリミッターはミキサーではないがミキサーとしても使える。ただビデオカメラは2ch入力を持っているのでミックスする必要はないのだ。高機能なリミッターと視認性のいいピークメーターが使いやすそうだ。単三電池でも駆動できるのがいい。PROTECH FS-205B ¥104,580
ヘッドホンは定番のSONY MDR-7506 ¥18,900である。
音声スタッフが確保できない場合は写真のキャスター付きライトスタンドにブームを固定する。ブームポールとハイパーリミッター以外は既に所有しているものである。
ここで気になるのはやはりハイパーリミッターである。価格的なバランスがイマイチ。マイクをカメラに直結すればなくても問題ないわけだし…

2007年09月20日

ワイヤレスマイク

この世界は非常に深い。便利なのだが安直に使うと痛い目にあいそうだ。
写真のセットは2つの送信機がセットになったRAMSAのものだが価格は¥1,620,000にもなる。安いセットだと3万円台から送信機+受信機+ピンマイクが手に入る。一般的なピンマイクだけでも4〜5万はするからこのクラスのワイヤレスセットだと簡易型といわざるを得ない。しかしマイク別で送受信機だけとしても価格の幅が大きすぎてどう選んでいいものか迷ってしまう。音質なのか、混信に対する信頼性なのか、耐久性なのか…

こういった音声関連の業務用機器というのは基本ベースが報道用に置かれている。つまり失敗は許されないという前提に作られているので非常に高くなるのはわからなくもない。
アマチュア映画だったり低予算CMなどでは高価な機材ばかりを揃えるわけにはいかない。しかしある程度クォリティは欲しい訳だ。信頼性は二の次でも…
このあたりの商品選択が微妙に難しい。安いものを試験的に購入して使ってみる。性能、機能的に多少の不満が出ればワンランク上の機種を選ぶ。こういった方法しかないのかもしれない。他人の評価もどこまで信用できるのか、というか目的や価値観が違うと評価もそれぞれだし。

ワイヤレスの便利さはやはりロケ現場で発揮する。スタジオでも動きのある全身ショットなどはワイヤレスも有効だがほとんどの場合有線のピンマイクで問題ないしガンマイクの方が自然な集音が出来たりする。ロケの場合周囲のノイズが多いわけで出来ればピンマイクを仕込みたいわけだ。しかしCMや映画では襟元からマイクヘッドが出ているというのは不自然なわけで衣装に隠し込んでセットする。ところが演者が動くと衣ずれでザクザクというノイズが混入する。衣装の裏に仕込むため高音域が吸収されこもった音になる。後処理で戻そうとしても限界はある。いろいろと難しい。
そういった理由もあってCM、映画ではブームに付けたガンマイクが多用されている。それでもロングの画ではマイクが遠くなるし動きの激しいカットではガンマイクが追いきれない。そんな場合は音声のみ別録りが便利だ。このようなカットではあまり口元がはっきり映っていないので多少のずれは気がつかない。こういった手法は報道ではありえない。
そんなわけであまり高価なワイヤレスマイクを導入する気にはなれないのだが別の使い方をすると意外に便利なのだ。

VEとしてブームとガンマイクを担ぎ、ミキサーとヘッドホンで調整する。この場合有線であればミキサーとカメラをケーブルで繋がないといけない。ここをワイヤレスにすればVEとカメラマンは別々に自由に動くことが出来るというわけだ。更にカメラのモニター映像をワイヤレスでVEに送ればガンマイクの見切れやプレイバックチェックにも利用できる。
次はこのあたりのワイヤレスシステムを検討。

2007年09月21日

ロケスタイル -1

カメラマンとVEがワイヤレスになったらどれだけ便利か。
収録するマイクの音声をカメラに送る。撮影している映像をVEも確認する。カメラマンとVEのコミュニケーションをインカムで行う。
実は単独ではそのような機器は存在しているのだがどこまで実用化されているのか、あまりこれといった適材適所のツールが見つからなかった。ビデオトランスミッターなどはロケ現場でのディレクター、クライアントチェック用に便利だと思うのだが。
そもそも撮影現場でどこまで映像チェックが必要かという問題はある。

フィルムカメラのその昔は今のようなビジコンがなくカメラマンがポジションを決めて監督がファインターを覗いて確認し本番はカメラマン任せという時代が長く続いた。
ところがビデオカメラやビジコンが登場するとカメラマン以外の人間がリアルタイムにチェックが出来るようになり、さらには撮影したものまでその場でプレイバックチェックできるようになってしまった。こうなるとスタジオカメラマンと同じでカメラマンはディレクターの指示で「○○を狙って」「もうちょっとタイトなサイズで」「ゆっくりパンして」などと単なるオペレーターになってきつつあるのだ。さらにハイビジョンになるとカメラマンはファインダーだけの画像チェックでは細かなフォーカスや不要なものが映っていないか、ガンマイクが見切れてないかなどチェックしきれなくなってきている。
そうなるとVEさんの存在はかなり重要になってくる。音声のチェック、露出、フォーカス、フレーミングをモニターで確認する必要が出てくる。

そこそこ高くなるがバッテリー駆動のモニターでハイビジョン対応のものがある。
BT-LH80W 7.9inch。カメラのビューファインターの情報が全て見られ、しかもウェーブフォームモニターが表示できたり、ハイビジョン画像をピクセルtoピクセルまで拡大できたり、フォーカスアシストのためのエッジを赤く見せる機能、水平垂直を確認するためのグリッド表示と実に多機能なモニターだ。
こかしこれとてカメラとワイヤー接続なわけでどこに行くにもカメラマンのお尻にくっついていかなければならない。たとえば2人のスタッフでCM制作ロケに行くとする。カメラマンはこのモニターをカメラに取り付けフォーカスや露出も確実に行う。モニターサイズがそれなりに大きいので周りのスタッフも確認できるわけだ。
もう一人はガンマイクをスタンドにセット、レベル調整をして、照明セッティングも行う。そして本番はディレクターとして。音声、映像の細部チェックはプレイバックで行う。NGが出れば撮り直し。こういったスタイルではどうだろう。
次はこの最小スタッフ構成での照明を考えてみる。報道ENGと違いバッテリーライトだけというわけにもいかない。

2007年09月22日

ロケスタイル-2

更に具体的な構想。
照明機材は5300K℃の蛍光灯。電力消費量が少ないので電源確保が容易。ハロゲンやタングステンに比べ光源が面光源寄りなので特にディフィーズしなくてもある程度柔らかい影が出る。デイライトに近い色温度なので屋外の補助光としても色温度変換フィルターなしで行える。発熱がほとんどないので安全でセッティングも楽。など、メリットが多い。
HMIなどは気の遠くなる価格だがこの蛍光灯器具は比較的リーズナブルである。
57W単灯×4台、57W×4灯が1台。タングステンと単純に比較するとW数が6倍と言われているので57W×8灯で約2.7kWの電球相当と考えられる。
写真にある小型発電機は600Wタイプなので総電力456Wの蛍光灯であればまだ余裕がある。もちろん近くの家庭から電力が引ける場合でもブレーカーの心配はない。

キャスタースタンドに取り付けることで少人数でもセッティングが容易になる。逆光のタッチを付けるため被写体背後から照射できるようブームアームにも取り付けられる。
実はこれらの照明セット、現在スタジオで使っているものである。スタンド、器具、全てを運搬するのは多少の肉体労働ではあるがこの程度の規模であれば翌日の筋肉痛を気にするほどでもない。これに加えてレフ板を用意する。強い太陽光があればレフ板をうまく使うだけで充分な照明をすることが出来る。しかし人数が限られるためこれらも照明スタンドにセットすることになる。風で飛ばされないためステンレスの粒の入ったウェイトを用意している。とはいえ強風の日のロケは避けたい。音声にも悪影響があるためだ。

音声に関しては、基本ガンマイク+ブームアーム+キャスタースタンドということになる。被写体が動く場合はフォローが必要だがそれ以外は固定にしておく。ガンマイクは一旦ハイパーリミッターに送られ、レベル調整されてからライン出力をトランスミッターに送り込み、カメラ側のチューナーで受け、録音される。ENGと違い不意な大音量になることはないのでリアルタイムにレベル調整する必要もない。ピンマイクが必要な場合は集音部が3.5φという極小ユニットの有線マイクがあるのでこれをワイヤレスユニットつなぎワイヤレスマイクとして利用する。

ディレクター&クライアント&VE用にモニターをスタンドに取り付けカメラマンの近くに設置する。これは出演者モニターとしても兼用でき、あちこち移動できるので便利だ。ACの引き込みがある場合は13インチの液晶テレビ、ACが確保できない場合は8インチのバッテリー駆動モニターということになる。この程度の機材一式であればコンパクトワゴンに充分積載できるし人員も2名程度で問題ない。ロケ移動1時間以内で撮影ポイント4〜5箇所、出演者数名であれば日の高いうちにセッティングから撤去まで済ませることが出来そうだ。

この写真の中で今のところ所有していないもの。マットボックス・ワイヤレスセット・ハイパーリミッター・発電機・バッテリーモニター・着物の女性。

2007年09月23日

特機

ここまでリストアップしてくると特機まで欲が出てくる。
ドリー、ミニジブ、クレーン、ステディカム…
最近は小型DVカメラの普及で簡易型特機も登場して見ているだけでも楽しい。
これらの特機は基本的にカメラポジションを自由に変えることができる機器なのだが動く範囲、安定度で価格は数万から1000万超えとさまざまだ。
小型カメラ用のスタビライザーなどは手軽に面白い表現が出来そうだが安定した映像が撮れるまでにはそこそこトレーニングを積まないと出来ないと聞く。
ステディカムはハリウッド映画にも使われるくらい安定度は抜群のようだが価格は何百万もする。
クレーンとジブは似ているがジブはカメラマンが直接カメラ本体をオペレーションするので動く範囲は限られる。天秤にカメラを乗せて無重量で動かすといったイメージだ。
クレーンはカメラマンが乗るタイプとリモコンを使うタイプがある。
カメラマンが乗るタイプは本体がかなり大型なので運搬や操作するスタッフ等かなり人材も必要になる。
最近はやりなのがリモコンタイプのクレーンだ。小型DVカメラ用のもので数十万くらいあらある。パン、チルト、ズーム、フォーカス、モニターが手元で出来てワンマンオペレーションでクレーン作業も可能というものだ。長いアームを使うと地面すれすれから数メートルの高さまで一気に上がることもできる。ただ構造が簡易型のものが多く単純な動きでもブレが目立つものがある。もっとも、大型のクレーンでもモーションコントロールのような安定した動きが出来るわけではないのでやはり究極は可搬型モーションコントロールクレーンということになる。
手っ取り早いところで軽量スタビライザーのトレーニングでも始めるか…?

2007年09月24日

実物を見てきた

久々に大阪まで行ってビデオ機器の実物を見て触ってきました。
まずは電動リモコン雲台。滑らかなパン、チルトをするのに便利かと思っていたのですが実際のものを動かしてみると意外に速度が遅く、動き始めと止まる瞬間にショックがありモーションコントロールのような加速減速がないので動き途中しか使えないようです。良ければ買おうかと思ったのですがやはり実物を見るべきです。

次に小型カメラスタビライザー。10万ちょっとする機種が1.5kgクラスの小型カメラを乗せた状態で置いてありました。このスタビライザー、操作してみるのは初めてでした。いきなり持つとぐらっとバランスを崩すくらい繊細な動きだ。最近力仕事してないので重いものを持つのは苦手だったのだが意外に軽快に持つことが出来て使えそうだなという印象。早いパンニングは苦手だが浮遊しているように移動するとかなり気持ちのいい映像になる。これはちょっと欲しくなった。
マイクの風防用ウィンドジャマーも初めて実物を見た。写真ほどフワフワしているものではなかった。ガンマイク用のロングバージョンがなかったのでこれは諦めた。

ジブアームクレーンもあったのでちょっと操作させてもらった。総重量10kg程度の割にかなりがっちりした感じだ。価格もリーズナブルで使い道はいろいろありそうだ。
たまにこうして実物を見るのは必要である。こうして詳細に見ておくと写真を見ただけでもある程度実物の予想が出来るようになる。全ての機器を見て触って比べてから買える環境にはないわけで、ある程度リスクを承知でネットで購入してしまうわけだ。気に入らないからと返品することはまずない。

防音型インバーター発電機

YAMAHA EF9HiS。ホームセンターで¥98,000で売っている。
結構軽くて12.7kgだ。やはりロケともなると機材がどんどん増えてきて一つずつの重さが重要になってくる。
インバーターなので綺麗な正弦波のAVが得られるという。MAX900Wだから蛍光灯照明であれば余裕だ。防音型ということで騒音レベル 47〜57dBA/7m。数値で言われてもピント来ないが47dBAは "静かなレストラン" や "静かな公園" と同等レベルらしい。
録音ポジションから20mも離せば気にならないレベルになるのではないかと思うのだが…実際どうだろうか。

ACがあるととにかく便利だ。もちろん家庭用100Vが延長してでも引ければ言うことはない。むしろ電源の引けない屋外で蛍光灯照明がどれだけ有効か、そちらの方が問題かもしれない。ただ補助照明にはなるし大掛かりにHMIもないし、ノーライトでの映像もどうかといろいろ想定してしまうのだ。しかし照明ばかりでもない。音響機器やビデオ電源に使えるクォリティかどうかはやってみないとわからないがACが手元にあればバッテリーの充電が追っかけで出きる。とにかく現場でのバッテリー切れは致命的だ。

モニターも10インチ以上になるとバッテリーでは厳しくなる。高価なバッテリー駆動の専用モニターを持ち込むより安価な地デジテレビをモニター代わりに使ったほうが視認性が高い。モニターはとにかく大きい方がいい。このくらいのコンパクトでリーズナブルな価格であれば使う場面があまりないとしても車に積んでおくと安心かもしれない。

2007年09月25日

グライドカム4000PRO注文

ロケシステムをいろいろ妄想してきたが何も全部揃えようということではない。自分でやれる範囲の限界もあるのであまり道具ばかり揃えても使いきれるものではないしレンタル屋さんをするつもりもない。
前々から欲しいと思っていたがいまいち踏み切れなかったのがカメラスタビライザー。
ネットでいろいろ見いてるとかなり難しいと書いてある。しかも片手で持ってなるべく揺れないように移動するわけだから体力勝負なのだ。
HVX200本体が2.5kg、バッテリーが0.27kg、グライドカム1.35kg、これにグライドカムのウェイトとセンチュリーのワイドアダプターが付くので総重量は5kgくらいになるだろうか。とても長時間片手で支えることは不可能だ。

しかしなぜ買おうかと思ったか。まずは先日専門店の店頭で実際に触ってみたから。機種は違うしカメラもかなり軽量のものが取り付けてあったが持っていて全く重いと思わなかった。たぶん総重量3kgくらいのものだろうか。しかも初心者なのにかなりうまい(笑)これくらいなら使えそうだと思ってしまったのだ。物理学には精通しているつもりなのでこういったバランスものは理屈で使えてしまうのだ。
そして大きな理由は「長時間撮影がない」からだ。CM素材の撮影用なので長くても10秒程度だ。VPのようにのり代を撮っておく必要もない。5秒必要だったら5秒間の動きをすればいい。これなら持久力のない私でも可能だと。短時間ならアドレナリンが出続けるのだ(笑) ダンベルを6kgのウエイトに変えてトレーニング…?

ローバジェットCMの場合実写素材には制約が多い。
今まで書いてきたようにロケで人物の喋りの入った撮影をしようと思うと音声、照明などの機材がやたらと多くなってしまいそのための人材も確保しなくてはならず、かなり費用がかさんでしまうということなのだ。
なので人物喋りのあるものはスタジオでクロマキー撮影し、背景はデジタルカメラで撮って来たものを合成というのが安上がりになる。
スタジオの場合、音声の収録でノイズに悩まされることはない。屋外の場合、天気と出演者のスケジュール調整、室内の場合人物と背景の明るさ調整のため大掛かりな照明機材が必要だったりする。
デジカメの写真ならレタッチで露出も微調整が出来るしアングル、サイズ、不要な物を消したり加えたり…ある意味自由に加工できる。もちろん合成なりの不自然さはあるがコストのことを考えると断然有利なのだ。

しかし実際には人物が出演しないCMの方が多い。ローカルにタレントが少ないのと素人さんは出たがらない。都市部からタレントを呼ぶと交通費も含めてかなりコストアップになってしまうのだ。結局、デジカメの写真を動かしスライドショーのようなCMが最も安く付くということになってしまう。
では人物以外の撮影をビデオでやれば多少の動きが出るのではないかとロケスタッフを出してもパンやズームだけで画に変化が少ない。つまり被写体に動きがなければ三脚に据えたカメラでは二次元的な動きしか表現できないということなのだ。これなら高画素デジカメの素材をパンしたりズームしても同じではないかといったものもある。むしろそれの方が高画質だったりする。では動いていない被写体をいかに魅力的に見せるかというと視点移動しかない。

視点移動をするにはドリーやクレーンが必要になるのだがこれらはワンマンオペレーションではセッティング、オペレーションがかなり大変。肩乗せで手持ち撮影もあるが相当なベテランでも安定した画はなかなか撮影できるものではない。そこでカメラスタビライザーが登場ということになるのである。じつに前置きが長かった(笑)
肩乗せクラスの大型カメラだとモニターやバッテリー含めると10kg以上になりオリンピックのトラックなどで走り回っているステディカムオペレーターのスタイルになってくる。
しかしハンディカメラが高画質になったおかけでこのような片手で支えるスタビライザーが普及してきたわけだ。
というわけで比較的お手軽に動かない被写体を立体的に見せるツールが手に入る。お手軽とはいえそれなりにテクニックがいるらしい。

2007年09月26日

リニアウォーク

人間の構造というのはビデオカメラの手持ち撮影には向いていない。
例えばハンディカメラを右手で保持したとしよう。地面に着いた足から手のひらまでいくつの関節があるか。足首、膝、腰、背骨、肩、肘、手首。ざっと見てもこれだけの関節で支えているのだ。
安定させるため両足を開き脇を締めてファインダーを目に当てる。これでも腰から背骨、手首はぐらつくわけだ。これだけ自由な関節を持った人間がなぜ立っていられるのか。筋肉と筋を緊張させてバランスを取っているだけではない。常に揺らぎ、平行センサーを使ってサーボをかけている。全ての関節において行き過ぎたら戻し、反対に行き過ぎたら戻すという動きを繰り返しているのだ。このサーボが効き過ぎると震える動作をしてしまう。手持ちをするとどんな揺れが生じるのだろうか。関節だけのブレであれば回転運動なのだがこれだけ関節が多いと振動という形でストロークが加わる。

ロール、ピッチ、スイング、上下、左右、前後。全てが発生するわけだ。座標系で表すとX・Y・Z rol、X・Y・Z tranということになる。カメラの手振れ補正はこのうちピッチとスイングを内臓センサーで検知しレンズや画像シフトで打ち消してくれるという優れものだ。しかし意識的にカメラをパン、チルトすると手振れと勘違いしてカクカクした動きになってしまう。あくまでも手で持って固定撮影するときのみ有効なのだ。
こんなに不安定な人間がカメラを持って歩こうというのだから揺れないわけがない。
まずコンパスのような二本の長い足、まっすぐ歩くには実に不便な形状だ。骨盤、膝、足首、つま先の全ての関節を絶妙に組み合わせて前に進んでいる。重心は歩行中真ん中より進行方向にずらし倒れそうになりながら歩く。体重のかかっている足が地面に垂直になったとき頭の位置が最も高い位置にある。股を開いて次の一歩を接地したときが低くなる。実際には膝や足首など複雑に動かしているので人によって様々だ。このように歩くことによって多少の上下動が発生する。

さらに足は左右に平行についているため一本線の上を歩くことが難しい。普通に歩くと左右に体重移動していることがわかる。そして重心をうまく制御するため腰や背骨を前後に動かしバランスを取っている。結局歩いているだけでリニアな動きに対して上下左右前後の揺れが加わることになる。ではグライドカムのようなスタビライザーは何を補正できるのか。実はこの上下左右前後の揺れを吸収することは出来ない。このスタビライザーの最大の特徴はロール、ピッチ、スイングを吸収するものだ。ただ立っているだけでもこの回転運動は起こっているのだが歩いたり走ったりするとその動きは拡大される。これをグライドカムの重心部分にベアリング軸を置いて持ち手がいくら回転しても本体に回転の動きが伝わらないようにしたものである。つまり常に同じ方向、垂直に立っているということになる。実際には上下を認識させるため下のほうが重く、全く回転しないというものではない。では移動中に起こる上下左右前後運動はどうするかという問題が残る。実はこれに関しては人間がなんとかしなくてはならない。

グライドカムは肘をほぼ直角にして持つ。これによって上下の振動は肘の動きで吸収することが出来る。前後左右は肩で…微振動に関しては本体の重量慣性によってある程度吸収できる。この腕の振動吸収を機械に任せたものがステディカムのようなベスト着用型のスタビライザーである。このクラスになると走っても振動が伝わらないし腕の負担も軽減される。ただ全体の重量が20kgを超えるので長時間の着用はかなりきついらしい。
サポートなしのグライドカムでは普通の歩き方をしているとけっこうブレてしまい腕の制御だけでは収まらない。出来るだけ上下左右前後の振動がない歩き方をしなくてはならない。いわゆるすり足である。一本線の上を歩くように上体が平行に、幽霊が移動するように歩くわけです。これらの努力とスタビライザーの補助によって空中を浮遊しているような滑らかな映像が得られるわけです。

実際撮影する場合、カメラはワイドアダプターを付け最広角で撮ることが多いようです。これは移動中に細かなフレーミング補正が出来ないのとフォーカス調整が出来ないという理由以外に少々の画面の揺れは気にならなくなるといったメリットもあるからです。
もちろん望遠にしていくら直進しても移動感が得られません。移動ショットの醍醐味は近景と遠景のずれによる立体感なのです。
映画などの長回しでは本格的なサポートがないと肉体的に持ちそうもありませんがCMのちょっとしたカットに使うのであれば訓練次第で数百万のステディカムと同様の映像効果が得られるようです。
サンプル映像
ステディカム

2007年09月27日

被写体

まだ実際に自分がカメラを持って撮影に出かけるというイメージが湧かない。いろいろとシミュレーションをしてみるものの何かピンと来ない。
とりあえず注文したが到着するのは10月1日になるという。三脚とグライドカムを使い分け、スムーズにチェンジできるようクイックリリースアダプターも注文した。屋外撮影も想定して液晶モニターの遮光フードも。マットボックスも欲しかったが20万以上するのはあまりに高い。フィルターを使うことはほとんどないので使いたいのはフードである。センチュリーの0.6×ワイドアダプターがあるのでフィルターネジ形式のフードは使えない。これは自作するしかなさそうだ。

で、何を撮影するか。
人物撮影には向いているのか検証。喋りがある場合、音声をカメラに入れ込まないといけない。グライドカムにカメラを取り付けるとカメラは浮遊状態になる。これにケーブルを取り付けると僅かな力でカメラが引っ張られてしまうので何も繋ぐことができない。出来るとすればワイヤレスの受信機を本体に取り付けるくらい。
ワイヤレスの場合ピンマイクを仕込むといったイメージだがCMではあまり好ましくない。ガンマイクで集音しトランスミッターでカメラに飛ばす手はある。しかしカメラが動くのでマイクがどこで見切れるか難しい。VEにモニター映像を送るのも難しい。しかもワイドレンズで狙うことになるのでマイクとの距離も離れてしまう。というわけで同録には向いてないようだ。

では喋りなしの演技なら大丈夫か。ワンマンオペレーションの場合自分が出演者にキューを出さなくてはならない。撮影が始るとすぐにカメラは動き始めるのでキューを出すとブレてしまうのでまずい。演技者のNG、カメラワークのNG、両者のタイミングのずれなどリテイクの可能性は高くなる。これでは体力的に難しそうだ。
というわけで被写体は静物と言う事になりそうだ。室内、店舗、インテリア、庭、外観、景色といった被写体だ。NGはカメラワークと不要なものがフレームに入り込んだときくらい。ワイドで撮る為被写界深度は深くフォーカスがずれる心配は少ないものの現場である程度大きなモニターでプレイバックチェックはしたいものだ。やはりハイビジョンになると僅かなボケや余計なものが映ったりしているだけでけっこう気になるものだ。動き途中のショックもカメラ付属モニターでは確認しづらい。となれば20インチくらいのモニター、発電機といったものが必要になってくる…

室内の場合光量が問題になるがワイドでしかも移動ショットとなると照明は非常に難しい。カメラマンの影が出る場合もあるし隅々まで光を届かせようとするとロケでは不可能でセットを組むしかない。HVX200はあまり感度が高くないので自然光だけでどれだけクリアに撮れるか問題も多い。などなど現場経験も少ないため不安要素は多い。ただ全てのショットをグライドカムで撮ろうというものではなく一般的な撮影方法、三脚+ガンマイク+照明セットという方法の一部として移動ショットがあると考えれば最終的な判断は現場ですればいいということになる。

2007年09月28日

暫くはSD納品だが

未だHDのオーダーは皆無なわけでこちらも無理に押し売りするつもりもないのでHDの撮影、編集をまだやったことがない。
そろそろテスト制作でもやってみようかと思っている。ただHDで制作するだけだと画面が大きくなりレンダリングが重いというだけであまり意味がない。
せっかくのHD機器、納品用VTRがないだけでHD制作体制は全てあるわけだ。SD納品でも何か利用できないかと考えてみる。撮影時にHDで撮っておくと後処理でズーム、パン、トリミング、スタビライズなど画像を二次元的に動かしても画質劣化が少ない。
理屈で言えば横で3倍、縦で2倍ということになる。結構自由に動かせることがわかる。
グライドカムで撮影した映像でもHDにしておけば必要な部分を画面の中心にするといった補正も可能だし水平が気持ち悪く傾いた場合でも補正することが出来る。

HVX200は720P60フレームで撮影することが出来る。これもグライドカムで撮影時に設定しておけば2倍のスローで再生できるわけでより滑らかな動きとして表現できる。
アンダークランク+スローシャッターも面白い機能だ。スターウォーズではスピーダーバイクの撮影に背景の森を猛スピードで突っ走る映像を合成している。
カメラマンはステディカムを持って森を走り、アンダークランク+スローシャッターで撮影したという。これによって早回し再生をしてもカタカタせず綺麗なブレと滑らかなカメラワークを得られたわけだ。メイキングを見るまではどうやって撮影したのかなど想像もつかなかった。
しかし現在のデジタル技術ではアンダークランクはあまりメリットがない。ノーマルに撮影しておいて後処理で早回しにするとフレーム合成によって長時間露光と同様のブラーを作り出すことができる。フィルム撮影ではコマ落とし撮影にすればフィルムを節約できるがメモリーレコーダーの場合は消費するものがないので幾ら回してもコスト的な無駄はない。しかもノーマル撮影にしておけばスピードの可変が画像を見ながら調整できるので高速移動した後、なめらかにノーマル速度に戻したりスローにしたりといったバリアブルスピードが自在にできる。
などなど今まで使ってなかった機能もグライドカムとHVX200の特撮機能でいろいろと展開できそうだ。

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