3D撮影には専用のカメラが必要と書いたがある方法を取ると一般のカメラ1台で撮影することが出来る。
一つはターンテーブルに乗せた被写体(静物)をカメラ固定で撮影するという方法。 非常に限定された手法である。
背景は立体にならない。
具体的には撮影された映像を時間をずらしてLRに振り分けることで視差を得ると言うものである。
小さな商品などをマクロで撮る場合二眼カメラだと視差が大きすぎて違和感が出るのだがこの方法だとかなり小さいものでも全く問題ないというメリットがある。
宝石、時計などの貴金属を店頭で拡大立体表示といった使い方は面白いかもしれない。
もう一つは移動撮影。自動車の中から進行方向に対して90度横方向にカメラを固定して撮影、先ほどと同様時間をずらしてLRに振り分ける。
風景などに利用できる。風景の場合一般的な視差6cmでは遠景に立体感が乏しい。しかしこの方法だと視差を自由に設定でき立体感の調整が出来る。しかも移動しているためよけいに立体感は強調される。
ただ被写体の中に動いているものがあると違和感が出てしまう…
もう一つ、これは実際18年ほど前に僕が考案して子供科学館の展示映像向けに撮影した方法である。
手法はモーションコントロールカメラを使ってLRの視差分カメラをずらして取付けなおし二度撮影すると言うものだ。 もちろん被写体は静物である必要がある。
視差の距離も自由に出来、親指カメラを使ってミニチュアなどの撮影が出来る。このときは3DCGも立体視で作り常設展示館で上映された。
モーションコントロールカメラといえばローコストと結びつかないがこのときに使ったロボットは汎用の小型工業用ロボットで1.2mのレール、6自由度のアームロボットで200万円ほどであった。
これら撮影した映像は2本の映像トラックになるわけだが上映時の機器に合わせてコーディングしなくてはならない。
方法は何種類かあるようで簡単なものでは1フレームの中にLRを半分の情報にして入れ込むわけだがアスペクトを1/2にして左右に並べたりフィールドに分割して入れ込んだりする。解像度は落ちるが汎用的な再生装置が使えるというメリットがある。
再生機は通常の映像再生するのだがディスプレイでこのミックスされた映像をLRに分離し上映する。
試聴方法もいろんな種類がある。 映画館で見られるのは偏光メガネをかけて観賞する方法。メガネが安価で大型スクリーンに投影するという手法に適している。
家庭用テレビに取り入れられているのは液晶シャッター方式。上映時にLRを交互に切り替えて表示、その切り替えに連動してメガネのシャッターもLRで切り換えられる。
メガネは電動で信号も受けないといけないので複雑になり高価になる。
テレビ側も高速シャッター対応の場合は専用のディスプレイになる。
フィールドを使った60Hzのものなら一般のテレビでも可能になるが最近のフラットテレビはプログレッシブだったり120Hzだったりするからあまり一般的とは言えない。
メガネをかけず立体視できる裸眼タイプのディスプレイも存在するが大型化が難しいのと試聴位置が狭いのであまり一般化されることはなさそうだ。
ここにあげた特殊撮影方法はそれなりに低コストで出来るがやはり限定的だ。通常被写体に対する3Dカメラもいろいろ開発されている。
カメラ自体を2台並べて撮影する方式は非常にコストがかかるが一台のカメラのレンズの前に取り付けるアダプタータイプのものも存在する。レンズの前にプリズムと特殊レンズを組み合わせて左右に圧縮された映像を一台のカメラに結像させるものである。画質的に問題もあるが簡易型として普及する可能性もある。
いろいろな可能性を探って実際のビジネスに展開していきたいものである。
つづく...