最近のCMや映画ではクロマキー合成が多用されている。
しかし意外にも一般的には合成モノは不自然で違和感があると思われている。
確かに一昔前の合成はエッジに黒いふちが付きボケボケでライティングも背景と関係ないコントラストでいかにも合成しましたというものが多かったことは確かである。
機材が進化した現在でも撮り方や合成がマズければ綺麗な合成にはならない。
だからと言って合成は全てリアリティーがないと思い込んでしまうのは視野が狭い。
当方でも合成に関してはかなり気を使っている。
機材に関しては現在のレベルは映画での合成に近いくらいのクォリティーと言える。
ただ照明に関してはスペースと機材の関係で限界があり、ある程度妥協せざるを得ない場面もある。
例えば夕日をバックにした合成とかピーカンの海岸を背景に…と言った場合スタジオ照明もそれなりに合わせたいところだがスペース的に狭いので平行光線や逆光を作り出すのが困難、蛍光灯を使ったデーライトなので強いスポットを作ろうと思うとHMIかタングステンスポットにブルーフィルターを入れるなどしないといけないのだがそのような設備はまだない。
現在はある程度のコントラストを付けてライティングし、合成時のカラーコレクションで背景に馴染ませるという手法でごまかしている。
実際このカラーコレクションでかなりの馴染み度は変わってくる。
先日作ったCMで一般的な室内での合成ではハイビジョンで見ても誰も合成だと気が付かなかった。
しかしなぜ近場ロケのシーンで合成が必要なのか。
現地でロケをすれば一発撮りできるので簡単に済むと考えている方も多いが実際には現地ロケにはあらゆる制約や段取りが必要になりコストアップになるといった問題がある。
例えば室内を撮る場合人物と一緒に撮影する場合それなりの照明が必要となる。
しかし背景の室内をデジカメの静止画で撮っておき人物を合成する場合背景は最低限の照明で済み、静止画のためレタッチや切り貼りで大幅に変えることも簡単である。
そして人物をスタジオで撮れば照明は常設だし同録も現場のノイズに悩まされることなくクリアに収録できる。何よりも天候やロケ地のスケジュールに関係なく出演者の都合で撮影の日取りを決められる。
ただ合成物もコストダウンと言う意味ではメリットがあるが万能ではない。
合成がいかにうまくいってもやはりライブ感は突っ込んだものが演出できない。
カメラワークもほぼ固定カメラに限定されるし背景との絡み演技は基本的にできない。
このあたり、コストと演出のせめぎあいと言ったところである。