これだけ低価格でコンパクトなデジタル一眼が放送用ビデオカメラと大差ない画質で動画が撮れるとなるとどうなるのかシミュレーションしてみよう。
お手軽映像はYouTobeなどの普及でも周知の事実である。しかしこれらはネット配信と言うこともあり画質は二の次である。とはいえ最近はハイビジョン画質での配信も出て来たのだが。
一方の地上波はデジタル放送への転換期でありSD素材であってもとてもクリアーに放送されるようになった。ネット配信とは転送レートが一桁違う。それ以外にも地上波CMは放送料が非常に高いがネット配信は基本的に無料である。この差は大きい。
そんなわけで地上波CMは時間単価でいうと映画並みの制作費がつぎ込まれる。
しかしそれはナショナルスポンサーでの話である。
ローカルでは放送料は試聴エリアに比例して安くはなるが鳥取のような大手企業の少ない地方にとっては高い宣伝材料と見られているようだ。
なのでCMの制作費も極端に低く抑えられてしまう。なんとENGのビデオクルーを出す予算さえないと言うのが現実なのだ。もちろん無名でもギャラの発生する出演者など使えるはずもない…これは特に私がいる東部から中部にかけての特殊事情であるようだが…
そんな予算でどんなCMが流れているかと言うと大半は静止画フリップと局アナのコメント読みと言うパターンであった。この場合ビデオプロダクションは介在しないので制作費はフリップのデザイン料だけである。近年はこのフリップにする写真や文字情報を元に擬似動画に仕上げるローコストCMが増えてきた。
これにしても映像はデジカメの静止画写真である。
山陰の放送局がこの春から完パケ搬入となった。つまり先に書いたフリップデータ+局アナという形式が廃止され静止画CMであってもビデオプロダクションでナレーションを用意し静止画と一緒にビデオテープにして搬入しなければならなくなった。要するに制作費がかかるようになったと言うことである。
未曾有の不況もありローカルスポットCMはどんどん減少してきている。
そこでやっと本題に戻るのだがあくまでも鳥取東部の特殊事情という観点で書いているのでご了承いただきたい。今まで静止画フリップや擬似動画の写真は誰が撮って来たものだろう?出元ははっきり知らないが大半は写真素人のスポンサー担当者だったり広告代理店の営業さんだったりする。一部チラシなどのために撮ったプロのカメラマンの写真もあったりするがCMのためだけにプロのカメラマンに発注することは稀のようだ。
ましてやビデオカメラとなるとカメラマンや機材費ということで費用はアップする。
ではこういった素人カメラマンさんにこのムービーデジカメを貸し出して動画を撮ってもらうというのはどうだろうかと言うことである。非常に無謀な発想であることは承知である。しかし今までの流れを考えるとそれでも次の一歩であることは確かなのだ。人件費を上乗せできないのであれば今やっている人がもう一歩上の作業をすればいい。
と、そんなに簡単なことでもないのだが動画となるとカメラアングル以外にカメラの固定、あるいは動きと言うものが伴うのでスナップ写真のようにはいかない。それなりのトレーニングは必要だ。かといってプロのCMカメラマンのような映像を期待するわけにもいかない。せいぜい運動会で子供をビデオ撮影するより安定した映像を手がけると言った程度か(笑)このカメラは電動ズームを持ち合わせないので動きのあるカメラワークは手持ちかビデオ三脚を使ったパンチルト、浅い深度を使ったフォーカス送りといったカメラワークと被写体自体が動くものであるという選択である。つまり効果的な動画が撮れない場合は静止画にしておき後処理でデジタルズームやパンチルト処理をする方が滑らかだしトリミングも正確になる。画像のレタッチも容易なのでクォリティの高い素材になると言えるのだ。
特にカメラワークにこだわらなくても風が吹いていれば風景は動くし店内で人が働いていれば動きがある。こんな場合は動画モードで三脚に固定して撮影する。あるいは光学式手振れ補正を使って手持ち撮影というのもある。最近の撮影テクニックとして意識的に揺れるカメラワークでアクティブなイメージを醸し出すといったことも増えてきた。
大型のカメラと違ってこのようなカメラだと揺れ方が細かい。
それはそれで面白い効果になる。また720/60Pモードがあるので後処理で2倍スローを画質低下なしで変換できる。そうすると手持ちの揺れも心地良く見えたりする。
それなりに短時間講習とテスト撮影なども必要だろうが、ビデオカメラは使った事がなくともデジカメを使ったことのない人はほとんどないだろう。
ちょっとしたコツを覚えればそれなりの映像が撮れると思うのだがどうだろう?
ひょっとすると超低予算で意外に面白いCMが作れたりするかもしれない。
不況の時は頭と体を使うしかないのだ!まずは考えてみる。それから行動…